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【実践編】カスタマージャーニーマップの作り方|具体例や作成ツールを紹介

1.カスタマージャーニーマップとは
2.カスタマージャーニーマップの作り方
 2-1.ペルソナの設定
 2-2.タッチポイントを洗い出す
 2-3.横軸と縦軸を設定する
 2-4.ペルソナの行動を洗い出す
 2-5.ペルソナの感情・思考を整理する
 2-6.課題や施策を洗い出す
 2-7.KPIを設定しマッピングする
3.【具体例】カスタマージャーニーマップの作り方
 3-1.ファッション通信サイトの事例
 3-2.音楽配信サービスの事例
 3-3.民泊サービスの事例
4.カスタマージャーニーマップを作る際に活用できるツール
 4-1.Marketing Cloud
 4-2.KARTE
 4-3.Lucidchat
5.カスタマージャーニーマップの作成はマーケティング成功の鍵

1.カスタマージャーニーマップとは

カスタマージャーニーを直訳すると「顧客の旅」です。そもそもカスタマージャーニーは、ユーザーの行動や思考を把握する目的で作成されるものであり、ユーザーが顧客になるまでの過程について最適なアプローチを導き出すための概念を指します。

カスタマージャーニーを図式化したフレームワークがカスタマージャーニーマップです。ユーザーは商品の認知から購入に至るプロセスで行動、思考、感情が変化するため、カスタマージャーニーマップによって全体像を捉えることが大切です。

>>>カスタマージャーニーの考え方について、詳しくはこちらの記事を参考にしてください。

2.カスタマージャーニーマップの作り方

カスタマージャーニーマップは、商品開発や営業、店舗のスタッフなど、商品や顧客に接点があるさまざまな関係者と積極的に意見交換を重ねながら作成していくことが求められます。

マップのデザイン性にこだわる必要はありませんが、作成者以外にも多数の人の目に触れる可能性があるため、理解しやすくする工夫は大切です。たとえばマップ内に適度にイラストを入れるとユーザーがイメージしやすくなるでしょう。

ここではカスタマージャーニーマップの作り方について、以下の流れで解説します。

  1. ペルソナの設定
  2. タッチポイント・チャネルを洗い出す
  3. 横軸と縦軸を設定する
  4. ペルソナの行動を洗い出す
  5. ペルソナの感情・思考を整理する
  6. 課題や施策を洗い出す
  7. KPIを設定しマッピングする

2-1.ペルソナの設定

ペルソナとは、見込み客や顧客を分析したうえで「一人の仮想人物」として仕上げたものです。通常は性別、年齢、性格、仕事、趣味などを細かく設定します。

カスタマージャーニーマップを作成する際はペルソナの設定がポイントです。ペルソナは旅の主人公となるため、ペルソナが曖昧だとターゲット像が甘くなり、焦点が定まらないカスタマージャーニーマップになってしまいます。ただし、最初から完璧なペルソナ設定は難しいため、途中で変更できる余地を残しておくことも大切です。

ペルソナを設定した後は、ペルソナに辿り着いてほしいゴールを設定します。具体的な項目は企業によっても異なりますが、たとえば「お試し商品の購入」「リピート購入」「SNSでの口コミ拡散」などがあるでしょう。

ゴールを考えることにより、カスタマージャーニーマップを作成する目的や課題を再確認できます。なお、ゴールはペルソナの設定前に考えても構いません。

ペルソナについて詳しくはこちらの記事も参考にしてください。

2-2.タッチポイントを洗い出す

タッチポイントとは、製品・サービス・ブランドと顧客との接点のことであり、顧客が行動する際に使用する媒体を表します。具体的には、WebサイトやSNSなどです。

タッチポイントを洗い出すことにより、顧客の行動や感情を具体的にイメージしやすくなります。ただし実際に洗い出す際は、「この段階でこのような接点を持ちたい」という将来の理想と、「今はこのような接点に止まっている」という現状に分けて考えることが大切です。

スムーズにタッチポイントを洗い出せない場合は、後述する「4.ペルソナの行動を洗い出す」と同時に行うことも考えてみてください。

2-3.横軸と縦軸を設定する

【ペルソナの例】27歳女性・OL・独身・趣味は読書やネットショッピング

フェーズ商品の認知興味・関心比較・検討購入
タッチポイントSNS広告Google検索SNS・比較サイトECサイト
行動SNS広告を見る気になって検索口コミを確認購入する
思考・感情どんな商品?商品の特徴を知りたい実際使っている人は満足?良さそうだから購入しよう
施策オンライン広告メルマガSNS・口コミサイトECサイト・会員特典

カスタマージャーニーマップの横軸と縦軸を設定してテンプレートを作成します。横軸はユーザーの購買心理のプロセス、縦軸はユーザーの行動や思考などです。

上記の表を参考にすると、横軸に設定する項目として「商品の認知」「興味・感心」「比較・検討」「購入」などがあります。縦軸の項目は「タッチポイント」「行動」「思考・感情」「施策」などです。

ただしユーザーのゴール次第で項目が変わる点には注意が必要です。「自社ホームページからの資料請求数の向上」というゴールを設定している場合、横軸は「認知」「関心」「資料請求」になるかもしれません。

既存客の「リピート購入」がゴールの場合、横軸のスタートは「認知」ではなく「購入後」になるでしょう。このようにゴールに合わせて柔軟に設定することが大切です。

2-4.ペルソナの行動を洗い出す

時系列に沿ってペルソナの行動を洗い出します。その際は顧客側の視点を重視することが大切です。そのためにアンケートや聞き取り調査などを実施し、「顧客がどのような場面でどのような行動を選択するのか」を考えます。

ある程度ペルソナの行動を洗い出した後は、今までに設定したタッチポイントやフェーズごとに整理しましょう。

また、タッチポイント以前の行動を考えることも重要です。たとえば「ECサイトで商品購入」というタッチポイントの前に「妻(夫)に相談する」という行動が入るかもしれません。そのようなペルソナの周辺行動を具体的にイメージしながら洗い出します。

2-5.ペルソナの感情・思考を整理する

ペルソナの行動について洗い出した後、感情や思考を整理します。ここでいう感情とは「楽しい」「嬉しい」「悲しい」「寂しい」など、行動に伴って生じる心の動きです。思考とは「信頼する」「疑う」「迷う」「疑問がある」など、脳内で考えている内容です。

感情や思考はポジティブで建設的なものだけでなく、ネガティブな内容も重視しましょう。商品への不満やストレスが改善点につながるケースがあるからです。

2-6.課題や施策を洗い出す

ペルソナの行動や感情を把握した後、それらをもとに現状の課題や施策を洗い出します。その際は以下の確認が重要です。

  • ペルソナの行動とそぐわないポイント
  • ペルソナの感情や思考に合っていないポイント
  • 感情の後押しに欠けているポイント

ただし課題や施策の検討は、次のステップの「KPIを設定しマッピングする」の後に行っても問題ありません。

2-7.KPIを設定しマッピングする

最後に縦軸と横軸の内容をマッピングしていきます。その際は課題に対するアプローチ方法としてKPIを設定するとよいでしょう。

KPIとは、最終目標に到達するための中間目標のことです。適度なKPIを設定することにより、各段階の課題や優先順位が明確になります。

>>>KPIについて詳しくはこちらの記事を参考にしてください

3.【具体例】カスタマージャーニーマップの作り方

カスタマージャーニーマップの作り方の具体例として、ファッション通信サイト、音楽配信サービス、民泊サービスの3つの事例を紹介します。提供する商品やサービス、業種によってカスタマージャーニーマップの作り方はさまざまです。

たとえば、ファッション通信サイトではトレンドに敏感な若者が多く、音楽配信サービスは1曲ごとに費用をかけたくない層、民泊サービスは「信頼できるかどうか」を重視している層が多いという傾向があります。それぞれの事例を紹介します。

3-1.ファッション通信サイトの事例

国内の大手ファッション通販サイトのカスタマージャーニーマップの特徴は以下です。自社でカスタマージャーニーマップを作成する際の参考にしてください。

【ペルソナ】

  • トレンドに敏感な若者
  • 通販サイトでの購入に抵抗がない
  • サイズやイメージを間違えたくない
  • 手軽に服が欲しい
  • ブランドを見に行くのは面倒
  • ムダな買い物はしたくない
  • 好きな服で外に出たい

【1.認知】

  • インターネット検索
  • 雑誌やインフルエンサー広告

【2.リサーチ】

  • アプリのインストール
  • ブラウザでのサービス利用

【3.比較検討】

  • リアルなコーディネート画面による優位性

【4.購入】

  • 豊富な決済手段
  • アプリを通じた購入

【5.購入後】

  • レコメンド機能
  • おすすめブランドの新着商品情報をメールで送信

3-2.音楽配信サービスの事例

海外発祥で日本でも展開しているサブスクリプション型・音楽配信サービスのカスタマージャーニーマップの特徴は以下です。

【ペルソナ】

  • フリーミアムに共感している
  • 1曲単位で月額費用を払いたくない
  • スマホで音楽を聴きたい
  • 通勤や通学中に聴きたい
  • 手軽に音楽を持ち運びたい

【1.認知】

  • 友達の口コミ
  • テレビや街中の広告
  • 好きなアーティストやインフルエンサーの投稿

【2.リサーチ】

  • 音楽配信サービス全体の情報収集
  • LPに流入してプラン内容の調査
  • 好きなアーティストの楽曲検索
  • アプリインストール後のお試し無料プラン

【3.比較検討】

  • 利用料金
  • 登録アーティスト数
  • 使い勝手
  • キュレーションサイト
  • アフィリエイトサイト

【4.購入】

  • 豊富な決済手段

【5.購入後】

  • 個別にレコメンドしたプレイリストの送信
  • ナレッジコミュニティの作成
  • 主催イベントの開催

3-3.民泊サービスの事例

民泊のプラットフォームサービスのカスタマージャーニーマップの特徴は以下です。

【ペルソナ】

  • 旅行に高額な費用をかけたくない
  • 旅先の思い出を増やしたい
  • 限られた予算で思い出を最大化したい
  • 旅先で交流したい

【1.認知】

  • オンライン・オフラインの両方で旅先や費用の情報収集

【2.リサーチ】

  • 「民泊サービスはどういうものか? 信頼できるのか?」をリサーチ

【3.比較検討】

  • SNSなどで実際に民泊サービスを利用したユーザーの評判、特に費用面をリサーチ
  • 比較情報サイトの調査

【4.購入】

  • 決済可能手段で購入

【5.購入後】

  • 観光名所のコンテンツなどのレコメンド
  • 利用者の声の提供
  • メールマーケティング

4.カスタマージャーニーマップを作る際に活用できるツール

カスタマージャーニーマップを作る際に活用できるツールを紹介します。機能がそれぞれ異なるため、自社に適したツールを選ぶことが大切です。各ツールのメリット・デメリットは次のとおりです。

ツール名メリットデメリット
Marketing Cloud詳細なカスタマージャーニーマップを作成できる使いこなせるまでに時間がかかる
KARTEユーザーに合わせたアプローチが可能使いたい機能が多いと費用が高くなる
Lucidchat直感的な操作で使える無料版では使える機能や編集できる文書数が限られる

4-1.Marketing Cloud

Marketing Cloudはマーケティングやセールスを自動化できるマーケティングオートメーションツールです。サービス内の「Journey Builder」を利用することでカスタマージャーニーマップを作成できます。

ユーザーの行動パターンに応じたアプローチ方法やプッシュ通知、メッセージの確認と変更が可能です。マッピング後の細かな施策も自動的に教えてもらえます。

ただし、ルールや機能が多いため、使いこなすにはある程度の知識が必要です。十分な成果を得るまでに時間がかかることが考えられます。

出典:Marketing Cloud

4-2.KARTE

KARTEはユーザーの行動履歴をもとに、一人ひとりに最適なアプローチが可能なツールです。詳細なデータから顧客行動に沿ったカスタマージャーニーマップを作成できます。

リアルタイムにユーザーの行動を分析して可視化できるため、ユーザーの思考や感情の変化に対応したアクションを起こすことが可能です。

ただし、オプション機能が多いため、使いたい機能を増やすと料金も高くなってしまうことがあります。必要な機能を選んで費用を抑えることが大切です。

出典:KARTE

4-3.Lucidchat

クラウドタイプのフローチャート作成ツールがLucidchartです。無料版があるため、まずは気軽にカスタマージャーニーマップを作成できます。複数のテンプレートが用意されており、直感的な操作で使えるというメリットがあります。

Googleドライブなど外部ツールとの連携や、PDF・JPEG・PNGなどのファイル出力も可能です。

ただし、無料版では使える機能に制限があり、編集可能な文書が最大3つまでです。すべての機能を無制限で使うには有料版に申し込む必要があります。

出典:Lucidchat

5.カスタマージャーニーマップの精度を高めてマーケティング施策に活かそう

カスタマージャーニーマップとは、見込み客や顧客のプロセスごとの感情、行動、思考などを図式化したもので、全体像を俯瞰で捉えられるというメリットがあります。

基本的な作り方の手順として、最初にペルソナを設定した後、タッチポイント・チャネルの洗い出しなどを行い、KPIを設定してマッピングを行います。カスタマージャーニーマップの精度を高めるには、旅の主人公であるペルソナを正しく設定することがポイントです。

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