コンセプト設計とは?デジマ担当者が知っておくべき6原則と考え方
コンセプト設計を行うことは、マーケティングだけでなく事業戦略を立てる上でも重要ですが、コンセプト設計について以下のような悩みを持つ方も多いでしょう。
- コンセプトをイメージで捉えてしまっている
- コンセプト設計をして得られるメリットはどのようなものか
- コンセプトを考えるにもアイデアがでてこない
この記事では、コンセプト設計について以下の内容を解説していきます。
- コンセプト設計の意味と重要性
- コンセプト設計の考え方とアイデアの抽出方法
- コンセプト設計の進め方と具体例
コンセプト設計を理解することで、ブランディングやマーケティングに活かせる道筋が見えてくるでしょう。ぜひ参考にしてみてください。
▼目次
1.コンセプト設計とは何か
2.コンセプトを設計することの重要性
3.コンセプト設計の重要な考え方
3-1.ユーザー目線で考える
3-2.目的やターゲットを明確にする
3-3.特徴やメリットを明確にする
4.コンセプトのもとになるアイデア出しの6原則
4-1.単純性(simple)
4-2.意外性(Unexpected)
4-3.具体性(Concrete)
4-4.信頼性(Credible)
4-5.感情性(Emotional)
4-6.物語性(Story)
5.コンセプト設計の例
5-1.Appleの「Think Different」
5-2.Nikeの「Just Do It」
6.自社サイトのコンセプト設計の進め方
6-1.ターゲットユーザーの分析
6-2.ウェブサイトの目的の明確化
6-2.ウェブサイトの目的やコンセプトの決定
6-3.サイトの特徴や強みの把握
6-4.サイトのアピールポイントの設定
6-5.コンセプトの検証
7.ビジネスではコンセプト設計が重要
1.コンセプト設計とは何か
コンセプトは、概念や観念という意味があります。ビジネスにおけるコンセプトは、以下のものなどに対して、一貫した構想を持つことです。
- 商品
- 企業の姿勢
- デザイン
- SNS
- Webサイトなどのメディア
どのユーザーにどのような商品を届けるのか、企業としてどのような経営をしていくのかといった、商品や戦略に対して「一貫性のある構想を言語化したもの」といった認識をもっておくとよいでしょう。
2.コンセプトを設計することの重要性
コンセプト設計をすることで、以下のような強みが生まれます。
- オリジナリティが生まれる
- ターゲットが明確になる
- 提供する価値が明確になる
- 競合との差別化ができる
- ユーザーが持つイメージを具体化させることができる
- 共感を得られる
- ブランディングに役立つ
コンセプト設計をすると、「誰の」「どのような」悩みを解決するための商品やサービスなのかといった、提供する価値やターゲットを明確にすることが可能です。
また、商品の購入やサービスの利用において、コンセプトがあると購入などの判断をしやすいだけでなく、開発のストーリーなどで共感を得やすくなります。共感や感動といった、感情が動くことでシェアされる可能性が高まるため、感情を動かす戦略は重要です。
共感や感動によってSNSなどでシェアされれば、ターゲット層が抱く企業に対するイメージが共通認識となりブランディングにつながります。そのため、コンセプト設計をすることが、競合との差別化を図るスタートになるとも言えるでしょう。
3.コンセプト設計の重要な考え方
コンセプト設計をする際は、以下の3点を意識しましょう。
- ユーザー目線で考える
- 目的やターゲットを明確にする
- 特徴やメリットを明確にする
上記の3点を意識することで、ユーザーに明確なベネフィットを提示できるようになります。ベネフィットが見えないものは、ユーザーに「自分には必要ないもの」と判断されやすくなってしまいます。
せっかくよい商品やサービスがあっても、コンセプトが明確でなければ提供したいユーザーに対してメッセージが伝わりにくくなってしまいます。すると、ユーザーはどのような価値を得られるのか、どのような問題を解決するのかといった点がわかりにくくなり、商品がユーザーに届きにくくなります。ユーザーがどのような行動で購入などに行きつくのかを考慮して、各環境を見直してみることが大切です。
商品やサービスの価値を的確に提供できるようにするためにも、3つの考え方について詳しくみていきましょう。
3-1.ユーザー目線で考える
ユーザー目線で考えることがまず必要です。例えば、サイト設計がユーザーに配慮されていない場合を想像してみましょう。ユーザーに配慮していないと考えられるサイトは以下のような場合があります。
- 問い合わせフォームがない、わかりにくい
- 問い合わせフォームに入力する項目が多すぎる
- 「会社概要」「商品紹介」などの項目がカテゴリ分けされていない
- 統一感がなくわかりにくい
- スマートフォンからの操作を想定していない
問い合わせしたいのに項目が多すぎる、記号などの制限があるといった場合、ユーザーは煩わしいと感じ、離脱する要因になってしまうでしょう。
また、会社概要や商品紹介などがカテゴリで分けられていないと、ユーザーが欲しい情報に辿り着くまでに時間がかかってしまいます。他にも、タブやボタンが小さいとスマートフォンからの操作性が悪く、ユーザーにストレスを与えてしまうでしょう。
3-2.目的やターゲットを明確にする
コンセプト設計をする前に、「何を目的に」「どのような人に対して」商品やサービス、Webサイトが存在するのかを明確にしましょう。目的やターゲットが明確でないままコンセプトを設計すると、社員たちのターゲットに対する認識が異なり、本来届けるべきターゲットに価値が伝わりにくい施策を実施してしまう可能性があります。そうすると、ユーザーに伝えたいイメージが伝わりにくくなり、ブランディングに失敗することもあり得ます。
3-3.特徴やメリットを明確にする
提供する商品やサービスのメリットと同時に、「どのような人に」「どんな結果をもたらすのか」といったベネフィットを明確にすることが大切です。
美容室を例に考えてみましょう。美容室はひとつの地域に何軒も存在し、ユーザーはどこが自分に適しているのかをすぐに判断するのは難しいものです。例えば、ショートヘアが得意なスタッフが多く在籍している美容室なら、「ショートヘアが得意な美容室」という特徴があります。ショートヘアにしたいと思っているユーザーにとっては、ぴったりなお店となるでしょう。特徴がはっきりすることで、自分に合うかどうかを判断しやすくなり、ユーザーが探しやすくなるというメリットがあります。
このように、特徴やメリットを明らかにすることで、どのような人にとって価値があるかが明確になり、自ずとターゲットのユーザーに響くコンセプトを設計することができるのです。
4.コンセプトのもとになるアイデア出しの6原則
ユーザーの記憶に残るようなコンセプトの設計には「SUCCES」という6原則を利用すると良いアイデアが生まれやすくなります。ここからは、6原則についてひとつずつみていきましょう。
4-1.単純性(simple)
コンセプトをユーザーに理解してもらうためには、シンプルであることが重要です。ひと言で伝わるくらい単純なものであるほど、ユーザーに刺さりやすくなります。
ひと言で伝えるためには、詳細なターゲット像と商品やサービスの強みをしっかりと把握することが重要です。ユーザーにダイレクトに刺さるフレーズはなにかを考え、回りくどくならず、ワンフレーズで伝わるものを導きましょう。
4-2.意外性(Unexpected)
意外性とは、相手の予想を裏切るような、予期せぬ発想やアイデアを取り入れることです。ユーザーの期待を超える、意識が向かない発想を提供することで、記憶に残りやすくなります。
今では誰もが知るお掃除ロボットも、「掃除は人が必要」という発売当初の固定概念を打ち破り世界中でヒットを生みました。
ただし、過剰な意外性を取り入れるとメッセージが伝わりにくくなる場合もあるため、適度に意外性を取り入れることが求められます。
4-3.具体性(Concrete)
具体性とは、抽象的な表現を避け、具体的な例や詳細な情報を用いてメッセージを具体化することです。具体性を盛り込むことで、相手にとって説得力が増し、メッセージが印象に残りやすくなります。
例えば、新しいカップ麺のコンセプトが「お湯を入れてすぐに食べられる」といった抽象的な表現では、斬新でもなかなかユーザーの記憶に残りません。「すぐ」とはどれくらいの時間なのかを具体的にイメージできないからです。
極端ですが、「秒速!お湯を入れて10秒」といった表記があると、意外性がありつつ、「今までのカップ麺よりも早く食べられる」といったイメージを、すべてのユーザーが具体的に抱けるようになります。
4-4.信頼性(Credible)
信頼性とはどれだけ信用できるかということです。例えば、まだ世に出ていない画期的な情報があると、「そのような上手い話があるのか」と疑問を持たれてしまうでしょう。
信頼を得るには、商品やサービスのメリットの根拠を示すことが必要になります。専門機関の実証データなどで権威性を示す、またはアンケートなどによる統計データが有効です。
4-5.感情性(Emotional)
「感情性」とは、相手の感情を揺さぶるような表現をすることです。人間が生まれながらにして持っている欲求として、コピーライターのドルー・エリック・ホイットマンによる「現代広告の心理技術101」という著書で以下の8つの欲求をあげています。自社の商品やサービスが、ユーザーに対して以下のどの欲求に訴えかけられるかを把握すると、求める行動を誘導しやすくなるでしょう。
- 生き残り、人生を楽しみ、長生きしたい。
- 美味しい食べ物、飲み物を味わいたい。
- 恐怖、痛み、危険を免れたい。
- 性的に交わりたい。
- 快適に暮らしたい。
- 他人に勝り、世の中に後れを取りたくない。
- 愛する人を気遣い、守りたい。
- 社会的に認められたい。
4-6.物語性(Story)
ストーリーには、人の心を突き動かす大きな力が秘められています。ドラマや映画などの感動するストーリーを想像するとイメージしやすくなるでしょう。実際に、同じ価格の商品でもストーリー性を加えることで、倍以上の高値で販売できた事例もあるほどです。
人は、ストーリーに共感して心を動かされます。感動が大きければ、他の人にも勧めたくなるものです。開発にかける想いなど、ストーリー性を付け加えることで、一人の顧客から生涯にわたって得られる利益を表すLTVの向上やブランディングの戦略にも活かしやすくなるでしょう。
5.コンセプト設計の例
ここでは以下の2つのコンセプト設計の例を見ていきます。
- Appleの「Think Different」
- Nikeの「Just Do It」
5-1.Appleの「Think Different」
スティーブ・ジョブズがAppleに復帰し、「Think Different」というキャンペーンを打ち出して経営危機を乗り越えたことで有名です。直訳すると「異なる考え」となりますが、「固定概念に縛られない発想で挑戦し続ける人が世界を変える」という意味が込められていると考えられています。
このキャンペーンでは、Appleの製品やサービスに対する顧客の認識を変えることが目的でした。Appleは、当時IBMやMicrosoftなどの大手企業に比べてシェアが低く、経営危機にありました。ツールとしての性能の良さをアピールする他社のコンセプト戦略とは異なり、Appleではクリエイティブなイメージをアピールすることで、新たな市場を開拓することを狙ったのです。
AppleはCMで、クレイジーな発想で世界を変えた人々として、アインシュタインやジョン・レノンなどの偉人を紹介しました。これにより、偉人たちと同様に、Appleは斬新でクリエイティブなアイデアを持つことができる存在であることをアピールすることができ、成功を収めることができました。
5-2.Nikeの「Just Do It」
Nikeの「Just Do It」というコンセプトは、スポーツをする人々に対して、「何かを始めるなら、ただやってみるべきだ」というメッセージを送ることを狙いとしています。
NikeのCMには商品がほぼ映し出されていません。挑戦する人の姿勢に焦点を当てたものが大半です。従来のスポーツ用品メーカーが発信していた「勝つことがすべて」というイメージとは異なり、CMを通じてNikeは、スポーツに取り組む人々に対して、自分自身の限界に挑戦することや、失敗を恐れずに挑戦することが重要であるという価値観を伝えています。このキャンペーンは、スポーツに対する「チャレンジ精神」というストーリーを強化し魅力的なブランドイメージを創出することにつながりました。
一貫したコンセプトによって、Nikeのブランドは確立し、多くのスポーツをする人に選ばれる企業に成長したと言えるでしょう。
6.自社サイトのコンセプト設計の進め方
商品やサービスを発信するにあたって、自社サイトを活用している企業は多いでしょう。これまでは商品やサービス、企業イメージなど広いシーンでのコンセプト設計の話をしてきましたが、自社サイトにおいても、商品やサービスを販売していくのと同じように、ターゲットユーザーを分析し目的を決定するなどコンセプト設計をしていくことが必要となります。
ここでは、自社サイトのコンセプト設計に焦点をあてて、以下の5つの設計手順を解説していきます。
- ターゲットユーザーの分析
- ウェブサイトの目的の明確化
- サイトの特徴や強みの把握
- サイトのアピールポイントの設定
- コンセプトの検証
6-1.ターゲットユーザーの分析
ターゲットユーザーは、詳細に把握できているほど効果的です。詳細なターゲット像を明確にするためには、ペルソナ設定に加えてカスタマージャーニーマップを設計してサイト運営を考えてみましょう。
カスタマージャーニーマップを設計すると、設定したペルソナが購入までのステップで「どのサイトに」「何の目的で」訪れているかを可視化できます。また、ペルソナ設定が掘り下げられているほど、サイトに訪れている際の心情も浮かびやすくなるでしょう。
ターゲットの詳細を可視化することで、サイトのコンセプトも決めやすくなります。
6-2.ウェブサイトの目的の明確化
サイトが一番に果たしたい成果は何か、達成するために必要な要素は何かを明確にしましょう。Webサイトでは、主に以下のような目的が設定されます。
- 資料請求
- 問い合わせ
- 商品の購入
- サービスの加入
- 企業イメージの定着
資料請求や問い合わせを目的にしているなら、入力の手間を軽減した問い合わせフォームを設置するといった要素が考えられます。商品の購入を目的にするなら、専用のLP(ランディングページ)を用意する必要もあるでしょう。
サイトの目的と必要な要素を把握して、サイトに応じたコンセプト設計を行うことが大切です。
6-3.サイトの特徴や強みの把握
ターゲットや目的を明確にしたら、SWOT分析などを活用してサイトの特徴や強みを把握しておきましょう。
SWOT分析は、以下4つの頭文字を取ったものです。
- 強み (Strengths)
- 弱み (Weaknesses)
- 機会 (Opportunities)
- 脅威 (Threats)
サイトが提供できる価値に加えて、弱みや社会情勢の変化などと照らし合わせてサイトを俯瞰して捉えてみましょう。自社サイトの理解が深まり、サイト運営に有効な戦略が立てやすくなります。
6-4.サイトのアピールポイントの設定
特徴や強みを把握したら、サイトのターゲットユーザーにとってどのような魅力的な点があるのか、何を提供することができるのかといったアピールポイントを明確にしましょう。
アピールポイントを明確にすることで、ユーザーにサイトを好んで利用してもらいやすくなり、お問い合わせや商品購入など、サイトの狙いとするアクションを起こしてもらいやすくなります。
また検索画面で、ページの説明文であるディスクリプションやタイトルにアピールポイントとなる言葉を入れてユーザーを引きつけるためには、メタタグも正しく設定するよう気をつけましょう。そうすることで検索エンジンにサイトを認識してもらいやすくなり、SEOにも有効です。
これらの手順を踏むことで、ウェブサイトのコンセプトを明確にし、ユーザーに訴求力のあるウェブサイトを作成することができます。
6-5.コンセプトの検証
コンセプト設計をしても、必ずユーザーに受け入れてもらえるとは限りません。設定したコンセプトがどのような影響をもたらすかを検証する必要があります。ユーザーインタビューやアンケートを通じて、調査することも可能です。
はじめに決定した具体的なターゲット層に向けて、設定したコンセプトに対して以下のような評価軸を用いたアンケートを準備しておきます。
- 魅力度:魅力的に感じるかどうか
- 購入意欲:購入したいと感じるかどうか
- オリジナリティ:競合と似たものと感じるかどうか
- 共感度:利用シーンなどに共感できるかどうか
- 理解度:特徴やメリットがわかりやすいか
調査を行うことで、企業側とユーザー側の価値観のギャップを把握できます。調査結果を分析し、必要に応じてコンセプトを見直していくことも重要です。
7.ビジネスではコンセプト設計が重要
ターゲットユーザーに本来の価値を提供し、ブランディングや売上アップに役立てるにはコンセプト設計が重要です。コンセプトは「ブレることのない一貫性のある構想」のため、サイトや商品イメージがコンセプト内容に合っているかも確認しましょう。
また、コンセプトを的確にユーザーに提供するためには、マーケティング知識に加えて、サイト構築やソフトウェアなどのIT、DX知識も必要です。
ココエでは、IT、DX推進に特化し大手企業をはじめ、様々な業種の企業で人財育成やデジタルマーケティングをサポートしてきました。コンセプト設計の成果を出すためにも、まずは資料請求や導入事例集の確認をしてみてはいかがでしょうか。
また、Webマーケティングに関する記事のほか、トレンドの紹介、セミナーや勉強会のレポートなど、お役立ち情報を発信しています。ブログとnoteもぜひご覧ください。
サービス資料・導入事例集はこちら