DXの内製化とは?メリット・デメリットから取り組み方まで解説
こんにちは。ココエのライターチームです。
近年、あらゆる分野でDX化が進み、それと共にDXの内製化も注目されるようになっています。そこで、この記事では、DXの内製化について、メリットやデメリット、実際の事例、取り組む上でのポイントを解説していきます。
目次
そもそもDXとは何か?
DXの内製化について
DXの内製化の現状について
外注した場合と内製化した場合の違いについて
組織の体制
費用面
内製化のメリット
知識やノウハウを社内に蓄積することができる
開発や改善のスピードを速めることで、変化に迅速に対応できる
内製化のデメリット
人材の確保や育成が難しい
初期費用がかかる場合もある
内製化の事例紹介
ファーストリテイリング
りそな銀行
JR東日本
内製化を進める上でのポイント
内製化に取り組むべきなのか、よく検討する
どこから内製化を始めるのか、優先順位をつける
人材採用や人材育成に積極的に取り組む
DXの内製化について
そもそもDXとは何か?
DXとは、‘Digital Transformation’(デジタルトランスフォーメーション)の略称で、経済産業省によると、「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義されています。このことは、業務の効率化や生産性向上など業務フローの改善だけでなく、新しいビジネスの創出や組織のイノベーションなど、既存の枠組みを根底から覆すようなデジタルの変革を行うことで、新たな企業価値を生み出し、社会をより良い方向へ変えていくことと言い換えることができます。
DXの内製化について
DXの内製化とは、自社のDXに関わる業務を外注せずに、自社内で取り組むことを意味しています。内製化を行うということは、DXにまつわる業務の主導権を自社が握ることであり、どのようにDXを進めていくのか、計画から実行まで自社で方針を立てることを指しています。後にも述べますが、自社が主導となってDXを進めるだけでなく、内製化を進められる人材を育成する体制を社内に構築することもポイントとなっています
DXの内製化の現状について
DXの内製化に取り組む企業の割合は、約55%となっており、従業員規模別に見ると、従業員が1000人を超える企業では約80%を超
える企業がDXの内製化に取り組んでいます。このことから、DXの内製化に取り組む企業は増えていると分かります
外注した場合と内製化した場合の違いについて
ここでは、DXにまつわる業務を外注した場合と内製化した場合について、組織の体制や費用の観点から比較していきます。
組織の体制
まず、組織の体制についてです。
外注とは、自社のDXに関する業務を、外部に委託することを指します。企画から実行まで、業務の大部分を外部に委託し、外部の協力企業とともに、DX化に向けて取り組みます。そのため、外部との連携を上手く行うことができる人材が求められます。
内製化とは、自社内で業務を行うことであり、内製化に取り組むことができる能力をもった人材が必要とされています。内製化は一人の社員ではなく、何人かでチームを組み、取り組むのが一般的とされているため、具体的には、全体を統括する人、データを活用する専門的な人、技術面で専門性をもつ人などが求められています。
費用面
次に、費用面を比較します。
内製化した場合は、内製化の移行に伴う設備投資や人材育成にかかる費用がかかるのに対して、外注した場合はこれらの費用はかかりません。しかし、長期的な期間で考えると、外注するたびに委託費用がかかるため、どちらの方が良いかは企業ごとに考える必要があります。
その他にも、外注した場合、外部の方との連絡は緻密に行うと思いますが、業務を外部の方にお任せするため、業務内容の詳細が不明瞭で、具体的に行っていることを細かに把握するのは難しい状態になる(ブラックボックス化)と考えられます。
内製化のメリット
ここまで、DXの内製化と外注化の違いについて見てきましたが、では実際に、DXを内製化することによって、どのようなメリット・デメリットが考えられるのでしょうか?以下では、まずDXの内製化のメリットについて見ていきます。
知識やノウハウを社内に蓄積することができる
DXにまつわる業務を自社内で行うことで、知識やノウハウを社内に蓄積することができます。外注した場合は、外部とのやり取りは記録として残りますが、やり取りからノウハウを自社が得ることは難しいとなります。蓄積した知識等を活用することで、新たな問題にも対応でき、このサイクルを繰り返すことで、知識やノウハウを会社の強みとして活かせるようになります。また、一度、社内で蓄積した知識やノウハウを失うことはないため、社内で配置異動が行われた場合にも、スムーズに業務を引き継ぐことができるようになります。
開発や改善のスピードを速めることで、変化に迅速に対応できる
メリットの一つ目と重なるところもありますが、社内に知識やノウハウを蓄積することで、進める中で出てきた新しい課題や、社会の変化に対して、素早いスピードで対応できるようになります。外注する場合は、外部の方と連絡を取りながら進めていくため、素早い対応を取ることが難しくなっています。このメリットは、業務の責任者・意思決定者が社内にいるからこそのメリットだと言えるでしょう。このように、DXの内製化のメリットとしては、知識やノウハウを社内に蓄積することで、変化に柔軟・迅速に対応することができることがあります。また、このようなメリットは、企業がDXの内製化を進める理由にも挙げられます。
内製化のデメリット
次に、DXの内製化のデメリットについて見ていきます。
人材の確保や育成が難しい
DXの内製化を進められるような人材が社内にいない場合は、中途社員として採用するか、社員を育成するかの2つの方法が挙げられます。中途社員を採用するにも費用はかかりますし、採用直後から即戦力として働ける人材でない可能性もあるため、社内である程度の育成が必要となるでしょう。また、社内の人材を育成するときも、人材の育成には時間がかかるため、人材の確保や育成が課題として考えられます。
→現場実践にフォーカスした「座学+実践」の実戦型DX人材育成プログラムを見る
初期費用がかかる場合もある
「外注した場合と内製化した場合について」や、上のデメリットでもみた通り、内製化する場合は、人材の育成や設備投資費など、初期費用がかかるケースがあります。しかし、社会の変化が速くなっているため、長期的な期間で考えると、外注した場合は費用がかかってしまい、結果として内製化した場合の方がコストが抑えられると考えられます。内製化のデメリットとしては、人材の確保や育成、それに伴う初期費用が挙げられました。その他にも、内製化とは社内で進めることなので、何かが起きたときのリスク等を自社が取らなければなりません。リスクに対する覚悟を持つことが求められるでしょう。
内製化の事例紹介
ファーストリテイリング
ファーストリテイリングでは、これまでグループ各社のブランド、国や地域ごとにECプラットフォームを用いていたため、使いやすさや利便性に差が出てしまっていました。そのことを受けて、自社で『グローバル統一デジタルコマースプラットフォーム』を開発したところ、スピーディーなアップデートをグローバルに常時実行し、顧客の要望に迅速に対応できるようになりました。
〈参考〉
『グローバル統一デジタルコマースプラットフォーム』について
グローバル統一デジタルコマースの基盤を自社で開発。全世界への展開を進める|株式会社 ファーストリテイリング (talent-book.jp)
りそな銀行
りそな銀行は、口座残高や入出金明細の確認や振込など、様々な手続きをスマホでできるようなアプリ『りそなグループアプリ』を開発し、「いつでも・どこでも・簡単かつ便利」を提供したことで、新たな顧客と繋がることができるようになりました。こまめなアップデートや改善を行うことで、アプリとしての評価も高くなっています。
〈参考〉
りそな銀行
テーマ別IR資料 りそなのDXへの取り組み (resona-gr.co.jp)
JR東日本
JR東日本のDXの取り組みとして、①JR東日本アプリと②新幹線eチケットの2つが挙げられます。一つ目の、『JR東日本アプリ』は、経路検索が行えるだけでなく、運行情報や振替輸送情報を基に、列車の遅れを加味した「リアルタイム経路検索」や「リアルタイム列車混雑状況」を知ることができるようになっています。2つ目の『新幹線eチケット』は、オンライン予約サイト「えきねっと」等で新幹線を予約した場合、切符を受け取ることなく、新幹線eチケットに紐づけた交通系ICカード・モバイルSuicaなどを自動改札にタッチするだけで、新幹線に乗車できるサービスのことです。両者とも、DXの内製化を進めたことで、より便利な移動を提供できるようになったと言えるでしょう。
〈参考〉
デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)2021
dx-report2021.pdf (meti.go.jp)
このように、様々な業界でDXが取り組まれると共にDXの内製化が行われていると分かります。他の業界など、より多くの事例を知りたい場合は、経済産業省の『DX銘柄』を参考にしてみると良いでしょう。
内製化を進める上でのポイント
これまで、DXの内製化について外注した場合との比較をしながら、メリットやデメリットについて見てきました。最後に、実際にDXの内製化に取り組むために、抑えた方が良いポイントについて解説していきます。
内製化に取り組むべきなのか、よく検討する
重なるところもありますが、これまで見てきた通り、DXの内製化によって、変化に迅速に対応できるなどメリットもある一方、設備投資費や人材採用・育成など初期費用がかかってしまうことがデメリットとして挙げられました。そのため、企業によってDXの内製化に取り組むべきかどうかは異なります。DXの内製化を進めたことで、会社の経営状況が悪くなったということはないように、内製化を進めるかは社内でよく検討する必要があると思われます。
どこから内製化を始めるのか、優先順位をつける
社内での検討を重ねた上で、DXの内製化に取り組むことになった際には、最終的にどうなりたいのか目標を立ててから、目標に向けてできるところからDXの内製化を進めていきましょう。やみくもに始めるのではなく、どこから取り組むのか、優先順位を付けることで、目標に向けてスムーズに進めることができます。また、その際には、常に目標や全体を意識して、計画とずれていないか確認することや、始めの段階でかかる費用についても、あれもこれもと投資するのではなく、コスト面も注意して取り組むことが大切になるでしょう。
人材採用や人材育成に積極的に取り組む
DXの内製化を進めるためには、対応できる人材が大切であるため、人材を採用することや、DXに携わる人材が成長する機会(OJTやOff-JT)を設けて、人材が育成する環境を整えることが必要とされます。DXの内製化を実際に進めるには、取り組む ‘人’が重要となるので、人材への投資は重要と言えるでしょう。
DXの内製化について
ここまで、DXの内製化について、様々な観点から見てきました。人材や費用など課題となりうることもありますが、社会の変革が急速に進んでいるため、柔軟に速く対応するためには、DXの内製化を進める必要があるでしょう。人材という課題の面に対しては、DX実践にフォーカスしたDX人材育成プログラムを導入することで、効率的・効果的に進めていくこともできます。
ココエの「DX人材育成プログラム」は、e-learning形式でいつでも学ぶことができる「座学」とワークショップ形式の「実践」を組み合わせた実戦型DX教育プログラムです。経済産業省と独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が運営するデジタル人材育成ポータルサイト「マナビDX」でも「デジタル入門/基礎講座」としてココエのDXリテラシー基礎講座を採用しています。まずは無料体験版からお試しください。
→「座学+実践」の実戦型DX人材育成プログラムの資料請求はこちらから(資料ダウンロード)